福岡市・北九州市でIT系の就労支援を選ぶ前に知ってほしいこと(長いですが)

厚生労働所の就労支援施設に対するガイドラインPDFの一枚抜粋
出典:厚生労働省のガイドライン「具体的な生産活動の場面はあるか」「生産活動の収益が適当か」など

近年、障がいのある方の就労支援の中でも、「IT」「プログラミング」「動画制作」「eスポーツ」などを掲げる事業所が増えてきました。
パソコンやインターネットを使った仕事は、障がいのある方にとって大きな可能性があります。スキルを身につけることで、一般就労、在宅ワーク、業務受託、起業、フリーランスなど、さまざまな働き方につながる可能性があるからです。
一方で、私たちは「ITと書いてあるから安心」「楽しそうだから将来につながる」とは考えていません。
大切なのは、その訓練やOJTが、本人の将来に本当につながる内容になっているかどうかです。
検索で上位に表示されることと、就労支援としての内容が充実していることは、必ずしも同じではありません。だからこそ、事業所を選ぶときには、表面的な言葉だけではなく、その中身を見ていただきたいと考えています。

ITという言葉の中身は、事業所によって大きく違います

一口にITといっても、その中身はとても広いものです。 プログラミングだけでなく、Webサイトの保守、サーバーやシステムの管理補助、SEO対策、Webマーケティング、AIを使った業務改善、パソコン事務、データ入力、資料作成など、さまざまな仕事があります。 そのため、IT系の就労支援を選ぶときには、単に「ITが学べる」と書かれているかどうかではなく、誰が指導しているのか、実務経験のあるスタッフがいるのか、企業の仕事に近い訓練やOJTがあるのかを見ることが大切です。 また、身につけたスキルが工賃向上や一般就労にどうつながるのか、高度なITが難しい方にも本人に合った成長の道が用意されているのかも重要です。 ITは、言葉としては魅力的です。 しかし、就労支援として大切なのは、その言葉の中身です。

楽しい作業だけでは、自立にはつながりにくい

私たちは、楽しく通えることを否定しているわけではありません。 通所を続けるためには、安心できる環境や、本人の興味関心も大切です。最初のきっかけとして「楽しそう」「やってみたい」と感じることは、とても大事なことです。 しかし、就労支援の目的は、単に楽しい時間を過ごすことだけではありません。 働くために必要な力を身につけること。 正確に作業する力を育てること。 納期や品質を意識すること。 報告・連絡・相談を身につけること。 体調に合わせながら、継続して仕事に取り組めるようになること。 こうした力は、すぐに身につくものではありません。 時には難しさもあります。失敗することもあります。思うように進まない日もあります。 それでも、その積み重ねが、将来の仕事や自立した生活につながっていくと私たちは考えています。

厚生労働省の資料でも、生産活動の中身が重視されています

厚生労働省の資料でも、就労継続支援における生産活動については、単に活動があるかどうかだけではなく、一般就労に必要な能力の向上が見込まれるか、安定した生産活動収入につながるか、地域の労働市場や求人と結びついているか、といった観点が重要だとされています。 また、生産活動と称してeスポーツや、所定の場所にいるだけのような活動などを行わせている事例について、「公費による就労支援の生産活動として適さない可能性がある活動」として触れられています。 私たちは、この考え方はとても重要だと受け止めています。 もちろん、eスポーツや動画制作そのものを否定したいわけではありません。 ただし、それが本当に職業能力の向上や工賃、一般就労、自立した生活につながる内容になっているのかは、慎重に考える必要があると思っています。

以下に挙げた動画を見ていただくと「生産活動の適切性」について、説明がなされています。
厚生労働省「指定就労継続支援事業所の新規指定や運営状況の把握に関するガイドラインについて:d生産活動の適切性」

eスポーツや動画制作について、私たちが慎重に考えている理由

eスポーツや動画制作は、人によっては興味を持ちやすい分野です。そこから配信、イベント運営、デザイン、マーケティング、企画、分析などの仕事につながる可能性もあります。 しかし、ゲームをすること自体が中心になっていたり、動画を作ることだけが目的になっていたりする場合、それが将来の仕事にどうつながるのかを明確に考える必要があります。 eスポーツの世界で自立できる人は、決して多くありません。競技者として活躍できる期間も限られており、職業として成立させるには非常に高い能力や環境が必要です。 また、動画制作についても同じです。 現在は、ネット動画やショート動画、SNS広告が広がり、単にきれいな映像を作るだけでは仕事として成り立ちにくくなっています(※ちなみに私は10年前まで東京で、映画、TV、イベントでの映像制作を行っていました)。企業が求めているのは、動画そのものの完成度だけではありません。 誰に届けるのか。 どのような企画なら見てもらえるのか。 どのように集客や販売につなげるのか。 投稿後の数値をどう分析し、改善するのか。 つまり、動画制作の技術だけではなく、Webマーケティング、広告、SEO、SNS運用、分析、改善の力が重要になっています。 だからこそ、私たちは「何を作るか」だけではなく、「それが誰の役に立ち、どのように仕事や収益につながるのか」を大切にしています。
参考:厚生労働省.指定就労継続支援事業所の新規指定や運営状況の把握に関するガイドラインについて https://www.mhlw.go.jp/content/12200000/001620467.pdf

つなぐコミュニティーズが大切にしていること

つなぐコミュニティーズでは、IT・AI・プログラミング・Webマーケティングを中心に、実践的な訓練とOJTを行っています。 私たちが目指しているのは、単にパソコンを使うことではありません。 ITやAIを使って、仕事を改善する力。 Webマーケティングを通じて、企業の集客や売上に貢献する力。 保守業務を通じて、システムやWebサイトを安定して支える力。 パソコン事務を通じて、企業の業務を正確に支える力。 こうした実務に近い力を育てることを大切にしています。 指導には、ITエンジニアとして10年以上のキャリアを持つスタッフが関わっています。また、技術提携をしている横浜市のITエンジニアリング企業・株式会社アットウェアの専門家とも連携し、日々の訓練や作業を行っています。 訓練やOJTでは、Google Meetを使ってオンラインで常時接続しながら、実務に近い形で学び、取り組んでいます。 簡単な訓練ではありません。 すべての方がITエンジニアとして卒業できるわけでもありません。 しかし、だからこそ私たちは、本人の得意・不得意や体調、興味、成長の段階に合わせて、さまざまな道を用意することが大切だと考えています。

ITエンジニアだけがゴールではありません

つなぐコミュニティーズのゴールは、全員をITエンジニアにすることではありません。 もちろん、プログラミングスキルを身につけ、ITエンジニアとして一般就労を目指す方もいます。 一方で、IT全般の知識を活かした保守業務、SEOなどのWebマーケティング、AIを使った業務改善、パソコンを使った事務作業、データ入力、資料作成など、さまざまな働き方があります。 また、パソコン作業が苦手な方には、軽作業を正確に、迅速に、継続的に行えるようになるための訓練も行っています。 仕事において大切なのは、派手なスキルだけではありません。 決められた作業を正確に行う力。 同じ作業を継続する力。 周囲と協力する力。 体調を整えながら通所する力。 こうした力も、働くうえでとても大切な力です。 自立と自律につながる支援を目指して 私たちが大切にしているのは、「自立」と「自律」です。 自立とは、経済的にも生活面でも、自分らしく生活していく力を育てること。 自律とは、自分で考え、自分で選び、自分の人生を少しずつ決めていく力を育てることです。 そのためには、目の前の楽しさだけでなく、将来につながる力を身につけることが必要です。 工賃を高めるためには、工賃を支払えるだけの仕事をつくる必要があります。 一般就労を目指すためには、企業から評価される力を育てる必要があります。 起業や在宅ワークを目指すためには、スキルだけでなく、仕事を継続する力や責任感も必要です。 つなぐコミュニティーズは、ITを利用者さんの将来につながる「実務能力」として育てていきたいと考えています。 北九州市や福岡市で、IT系の就労支援を探している方へ。 事業所を選ぶときには、ぜひ「どんな作業があるか」だけでなく、「それが将来どのようにつながるのか」を見てください。またそれらの業務を経験したスタッフが在籍、指導しているのかを確認してみてください。

つなぐコミュニティーズは、利用者さん一人ひとりが、自分に合った働き方を見つけ、自律・自立した生活に近づいていけるよう、これからも実践的な訓練と支援に取り組んでいきます。

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