【今年度すでに6名が就職】つなぐコミュニティーズが考える「働く力」とは:第1話

「パソコンができるようになれば、就職できますか?」 「資格を取ったり、プログラミングやAIを学べば仕事に繋がりますか?」

就労支援の現場では、このようなご相談をよくいただきます。

パソコン操作やWeb制作、AIの活用といった専門スキルが仕事の選択肢を広げてくれるのは間違いありません。しかし、実際の就職や、その後に「働き続けられるかどうか」は、専門スキルだけで決まるものではありません。

つなぐコミュニティーズでは、2026年度に入りすでに5名の利用者さんの就職が決まりました。この5名が就職に繋がったのは、単に技術を身につけたからではなく、一人ひとりが自分の生活や体調、不安と向き合い、「働くための土台」を積み重ねてきたからです。

専門スキルの前に必要な「働くための土台」

履歴書に書ける資格や専門スキルは目立ちやすいですが、実際の職場でまず求められるのは次のような力です。

  • 決めた時間に起き、体調を整えて出勤する
  • 遅刻や欠勤の連絡を適切におこなう
  • 指示を聞き、分からないことを確認・相談する
  • 一定時間作業を続け、ミスがあれば報告する

どれだけ高い専門スキルがあっても、生活リズムが崩れていたり困ったときに相談できなかったりすると、職場で力を発揮し続けることは難しくなります。

反対に、今はスキルが十分でなくても、生活を整え、働く習慣とコミュニケーションを身につければ、就職後に能力を伸ばしていくことができます。

私たちが考える「働く力」は、ピラミッドのような構造です。

  1. 土台:健康・生活管理
  2. 基本:時間管理・連絡・責任感などの基本的労働習慣
  3. 応用:対人スキル・指示理解などの基礎能力
  4. 専門:パソコン・AI・専門技術

しっかりとした土台があってこそ、専門スキルが活きてきます。

「相談」と「訓練」をひとつに繋ぐ

つなぐコミュニティーズが大切にしているのは、相談と訓練を切り離さないことです。

まずは「生活リズム」「体調」「得意・苦手」「働く不安」などを丁寧に聞き取り、就職に必要な課題を一緒に整理します。そして、その課題を日々の作業や面談の訓練に反映させていきます。

  • 相談が得意でない方 → 作業中に職員へ確認・質問する練習をする
  • 集中が続きにくい方 → 作業時間や休憩の取り方を一緒に調整する
  • 体調に波がある方 → 無理をせず、自分の状態を把握して伝える練習をする

相談で見つかった課題を訓練で実践し、その変化を再び相談で振り返る。この繰り返しで、自分に合った働き方を見つけていきます。

支援者が決めるのではなく、本人が「選ぶ」

私たちが目指すのは、支援者が就職先を決めることではありません。大切にしているのは「意思決定支援」です。

過去の苦い経験から「自分には無理だ」と思い込んでいる状態で支援者が一方的に決めても、自信は取り戻せません。

だからこそ、選択肢を示し、実際に作業を経験・振り返りながら、自分で次の一歩を決められるよう支援しています。

「この作業なら続けられそう」 「今はまず安定通所を目指したい」

利用者さん自身が自分の言葉で未来を選べることこそが、本当に長く働き続けるための鍵となります。

一緒に「働く未来」をつくる

今年度就職が決まった6名は、目指した仕事も必要な支援も全員異なります。共通していたのは、日々の通所や相談を通じて自分を知り、「自分で次の一歩を決めてきた」ことです。

私たちは、単に就職者数だけを増やしたいわけではありません。本人が自信を取り戻し、納得して自分に合った働き方を選べるよう、相談から訓練、就職活動、定着まで一貫して寄り添います。

次回は、この「働く力」を支えるために、私たちがなぜ「手作業」を大切にしているのかをお伝えします。一見単純に見える手作業に隠された、就職に役立つ秘訣をご紹介します。

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